波間に揺れて
- 遊笑 鉄線
- 2019年9月22日
- 読了時間: 3分
遠い昔に死んでしまった最愛の姉に似ているという理由で一方的に島崎♀さんを気に入っている峯岸くんが、島崎♀さんに「僕の姉さんはそんな言葉使わない」って言って胸ぐらを掴む話。恋心ではなく宗教なので、峯島ではない。
峯岸くんには歳の離れた姉がいて、その姉が庭にある温室で植物を育てていた。幼い頃の峯岸くんは植物に興味はなかったけど、友達がいない彼にとって優しい姉と過ごす時間や植物と会話をすることは、とても大好きなことだった。
しかし、ある日姉は突然の事故で帰らぬ人になってしまう。峯岸くんは残酷な現実からより一層人を受け付けなくなってしまい、毎日植物たちと会話をすることで寂しさを紛らわせていた。
親族は最初こそ姉を亡くした峯岸くんを哀れんでそっとしていたが、1年、2年と時が過ぎ、3年目に差し掛かる頃には「このままでは世間的にまずいし、何より毎日植物の前でブツブツと独り言を喋っていて気味が悪い」と考えるようになる。
峯岸くんはこの温室の植物が生きている限り、姉が帰ってくると信じていた。そんな時、庭の温室が壊される事を知る。峯岸くんは親族に縋り付き必死に抵抗をしたが、それも虚しく、温室は取り壊されてしまい、植物たちは全て処分された。
彼はここに住み続ける意義を失い、軈て自らが操る植物で家ごと全てを壊した。唯一姉だけが彼が超能力者であると知っていたが、峯岸くんが「誰にも言わないで」と約束したため、親族は誰も彼が超能力者であることを知らなかった。
峯岸くんは跡形も何も無くなった家と地面に広がる血だまりを眺めながら、ぼんやりと『姉さんは二度殺された』と考えていた。
当ても生きる気力も無く、ただ道が続くがままに彷徨っていると、彼に声をかける人物が1人。それが統一郎との出会いだった。しかし、峯岸くんは統一郎の話も、彼自身にも全く関心を示さず、虚ろな目を地面に向けている。
そんな時、統一郎の後ろから一人の少女がやって来て、峯岸くんの前に立った。「彼は?」と問う声の、湧き水のように澄んだ美しさに思わずハッと顔を上げる。そこには最愛の姉の面影を思わせるような少女が立っていた。
大体こんな感じの始まりで、島崎♀さんはやけに甘えてくる峯岸くんに対して"寂しいんだろうな"と思って偶に相手をしてあげたりするけど、面倒な時は出会す前にテレポートで避ける。避ければ追いかけてこないし、次会った時も文句を言ったりはしないので、適当に放置していた。
でもこの放置がいけなくて、歪な認識が何年も続いた結果"この人は姉の分身"なのだと思い込むようになる。そして冒頭の話に繋がる。
島崎♀さんは普通に会話していただけだったから突然胸倉を掴まれたことに驚いて固まっていて、峯岸くんが一人で"姉はこういう時にはこうする"とレクチャーしてくる。でもそのうち統一郎に引き剥がされて、めちゃくちゃ注意される。
そのおかげで若干補正されて、やっと"島崎"という人間なのだと認識できたんだけど、それでも"こんなに似ているのだから、全部とは言わずとも魂の半分くらいは姉さんなのでは?"と思っている。
島崎♀さんは家族がいたけど死んで欲しいと毎日願うくらい大嫌いだったから、心の底から姉が好きだと言う峯岸くんが羨ましくもあるし、でも理解はできない。そして似ているのならまだしも、知りもしない峯岸くんの姉を模倣しなければならないことも理解はできない。
峯岸くんは姉のことを恋愛とかではなく"信仰対象"として好きなため、島崎♀さんに対しても同じような感情を持っている。結婚したいとか、付き合いたいとか、そんな願望はない。けど、他の男の元に行くのは嫌だし、側にいてずっと弟でいさせて欲しいとは思っている。
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