top of page

命あるかぎり

  • 遊笑 鉄線
  • 2019年8月6日
  • 読了時間: 2分

今まさに生と死を隔てる分水嶺を越えそうというくらいに衰弱して、静かに横たわっている統一郎の側にいつのまにか現れた島崎さんが、手を握りながら優しく暖かい声でそっと詩篇23篇を囁くという統島が心の底から好きすぎるので誰かください。切実に。 朦朧とした意識の中で最期の時を待っていると、ふと、よく聞き慣れた声が聞こえる。霞んで殆ど使い物にならなくなった目を声の方向に向けると真っ黒い影のようなものが見えて、初めは死神か何かだと考える統一郎。 しかし、影は自分に対して何かを囁いていると気付き、分散する集中力を必死に掻き集め声を聞き取る。と、どうやら、何かの詩を口ずさんでいるらしい。 『…とい、死……の谷…歩くこ………っても、私はわざ…いを恐……せん。あな…が私…ともにお…れますから。』 切れかけた電球のように途切れ途切れの脳内に入ってきた言葉を紡ぎ、やっと理解が出来た。誰かが、自分のために聖句を唱えている。 統一郎は島崎さんかどうかは分からないけど、島崎さんだったら良いなと思って、相手の頬に手を添えて「ありがとう」って言ってくれる。その手の上に暖かい雫が伝ってきて、相手が泣いているのだと初めて気が付く。 死の間際に側で涙を流しながら聖書を暗誦してくれる人物のあまりの愛情深さに、統一郎は少し笑って、一息吐いた後にゆっくりと眠りについた。島崎さんはそこでずっとずっと泣いて、暫くすると、島崎さんもこの世界から跡形もなく消えてしまう。 死ぬのではなく、テレポートを使って誰も知らないところに行ってしまった、というのが正しい。異世界か、あの世か、それともそれ以外かは、誰も知らない。1つ言えるのなら、帰ってこれないほど遠くというのは確か。

最新記事

すべて表示
定めなき世の常

流れ着いた無人島で平和なスローライフを楽しむ統島+芹沢さんの話。

 
 
 
mp100診断

mp100の診断メーカーとTweet generatorで遊んだ結果のまとめ。主に統島。

 
 
 

Comments


bottom of page