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なんて、綺麗な声で

  • 遊笑 鉄線
  • 2014年9月26日
  • 読了時間: 2分

更新日:2022年8月15日

幼い頃から翼があるのに飛ぶことが怖かったマジェント。高所恐怖症とかではなくて、ただ単に飛び立つのが怖いだけ。そんな育ち方をしたものだから自分の翼はすっかり飛ぶ機能を果たさなくなっていました。


適齢期を過ぎたら誰しもが飛べる様になるのに、マジェントは飛べもしない上に背中に生えている翼は平均よりも小さいので、周囲から「腰抜け野郎」と罵られる日々。

そんなある日、マジェントは空を飛ぶ画期的な方法を思い付きます。それは水に飛び込むということ。それを実行しようと早速崖に立ちます。浅瀬から入れば良いのに、期待感を抑えられず高いところから飛び込むマジェント。


確かに水の中は空と同じ様に青々と澄んでいます、が、水中に酸素は存在しません。服の重さと、息苦しさと、泳ぎ方を知らなかった故に流されていってしまいました。悲しいことに、この世界で助けてくれるものなど何もありません。


マジェントは表面上「地面が好きだから」と言っていましたが、本当は空が大好きで、飛べない自分に嫌気がさしていたのです。だからこそどうしても空を体験して見たかったのですが、まさか魚が住んでいるんだから息ができるはずと思っていた様子。エラの存在なんて知らなかった。


それでも、水面に映り輝く日差しや遊泳する魚の影、空の色を反射した青、美しい世界を見た彼は満足そうに目を細め、流れる水の中ただ身を任せ堕ちて行きました。その後、彼がどうなったかは誰も何もわかりません。


それから暫くして、マジェントが飛び込んだ崖に色鮮やかな花が咲きました。その花は種子を風に乗せて遠くに飛ばす花で、今日も沢山の種子が空に舞い上がり旅をしています。

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