陸上の海

跡部ちゃんに喜んで欲しくて、雰囲気が似ているという理由で選んだ青紫のバラを真田くんが一生懸命育てるけれど、とてつもない憎悪を募らせた跡部ちゃんが地面に塩を大量に撒いて枯らせてしまったという真跡を考えました。

ロザリアンの私としては、そんなことをされたら犯人を生きたまま土に埋葬するレベル。そもそも庭に塩なんか撒いたら、それこそ大変なことになる…けど、それすらも考え付かないくらい追い詰められてる感があって好き。

青紫系のバラは病気にかかりやすく、大抵は育てるのが難しいものばかりです。だから真田くんはそれこそ跡部ちゃんを大事にするように、このバラも大事にしていたに違いない。それをその跡部ちゃん自身が枯らしてしまうというのが良いのです。

跡部ちゃんの美しい青色の瞳を、真田くんがとても愛していたから青系統のバラを選んだという経緯がある。しかしバラはどう頑張っても空のような青色にはなれず、青紫が限度です。私の中の跡部ちゃんは青紫のいう色が大嫌いで、だからそんな花を育てている真田くんが許せない。

育てているうちに、彼の好きだった跡部ちゃんの青い瞳は深淵のように深い闇に覆われていくのが堪らなく好きです。彼が気がついた時にはもうすでに、萎れて枯れた花のような、ドス黒く淀んだ蔑みの瞳で見てくる跡部ちゃんが出来上がっている。

跡部ちゃんが庭に塩を撒いたのは、枯らす目的の他に『植物を育ててほしくない』という願いがあったのかもしれません。とは言っても、真田くんは今回のことで多分永久的に植物を持たない。心が完全に折れてしまったので、跡部ちゃんだけを大切にして生きようと誓いました。めでたしめでたし。

そういえば昔、無人島に監禁されている真田くんが暇すぎてそこら辺に咲いてる花を黙って育ててたら跡部ちゃんに見つかって大変なことになったみたいな話（『もう二度と』参照）を考えたことがありましたね。

そう考えると、バラがどうとか以前に跡部ちゃんは植物を育てること自体を許してはくれないと思う。やっぱり塩まきは決定事項だなぁ。