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回る花

  • 遊笑 鉄線
  • 2019年9月14日
  • 読了時間: 3分

今日は島崎さんのスナッフフィルムを統一郎に送りつけた時の反応を考えたけど、統島が好きな身としては統一郎には何かしらのアクションを起こしてほしい。が、具体的に彼がどう行動するのかというのが思いつかない。


怒る?悲しむ?どれもしっくり来ない。だって既に島崎さんはこの世界のどこにも居なくて、今更どうしたってもう手遅れで、何よりも今まで自分が"普通に生活している時間の裏側"で島崎さんはこんなことになっていたわけで……。


何時もの島崎さんは"統一郎さん"って呼ぶんだけど、このビデオの中の島崎さんは最期に「ボス……」ってか細い声で呼んで、身罷る。


島崎さんが統一郎の名前を呼ばなかったのは、もし彼の名を呼んでしまったら『鈴木統一郎が愛した人間が惨殺されたのに何も出来なかった』になってしまう。だから"ボス"と呼ぶことで『部下の一人が見せしめに殺された』という方が統一郎的にマシだな、と思った島崎さんの最大限の配慮です。


それを行なった人間は鈴木統一郎と島崎亮の関係は知らなくて、島崎さん=5超で統一郎が「一番使える」と思っている人材という認識でしかなかったのかもしれない。だからそんな彼らにこれ以上煽らないように、ただの部下のフリをしたという感じ。


映像の冒頭は毒を含んだ言葉を放っていたんだけど、島崎さんと長く過ごして島崎さんのことをよく知っている統一郎は、最初のシーンで"余裕そうに見せているが、声のトーンに焦りと恐怖が混ざっている"と気がついてしまい、まずそこで心がざわつく。


目の見えない彼にとって、近くの机に置かれているであろう拷問器具の音と、これからどう使うかの説明をされている時に感じた恐怖は、どれ程のものだったのだろうか。いや、寧ろ想像がつかなかったのかもしれない。


「アフガン戦争などで捕虜に対してゲリラが行なっていた"シャツ脱ぎ"という有名なやつがあるんだよ」って言われても、島崎さんは多分……分からないと思う。そもそも焦りで思考が半分くらい止まってるし、考えないようにもしてる。


島崎さんが一番堪えそうなの、ホワイトトーチャーな気がする。痛い時は"痛い"しか考えられなかったけど、長時間無を体験すると"統一郎さんにもっと愛されたかったし、まだお別れだって言ってない"って気が付いてヤダヤダしてそう。


だけども、死ぬ前に統一郎に「ずっと大好き」だということと「今までありがとう」ということを叫べば確実に届くはずなのに、何も言わないまま還ってしまった。それが最期に、統一郎にしてあげられることだと島崎さんは思っていたから。


何十時間にも渡って散々嬲られた島崎さんの身体は、勿論帰ってきていない。統一郎と共に棺桶に眠ることが島崎さんの唯一の夢だけど、それすらも永遠に叶わなくなった。寂しがりの彼の魂は、きっと今も誰も知らない山中か海底に縛り付けられているに違いない。


統一郎は当然この延々と続くビデオを最後まで見るわけなんだけど、見ている間は色んな感情が渦巻いている。すぐにでもこの場所に行って、死より重い制裁を加えて、島崎さんを救ってあげたい。でももうこのビデオが手元にある時点で…なことを思い出して、一気に脳がシャットダウンをしてしまう。


手には爪が食い込み、血が流れている。が、統一郎はそれすらも気にならないくらい全てが麻痺していて、ビデオが終わった後もただぼんやりと天井を見上げていた。脳裏には何も浮かんでこない。島崎さんとの思い出も浮かんでこない。虚無ばかりが心を占めて、電源プラグが抜けたかのように放心している。


そう、この後どうするのかが思いつかない。怒りとも悲しみとも言えない、無の感情。恐らくそれは"絶望"なんだろうけど、それを感じた統一郎は何をするのかな。個人的には探し出して殺しはするかもしれないとは思っている。殺した後は……どうするんだろうね。

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