勿忘草
- 遊笑 鉄線
- 2015年12月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年8月19日
もしかしたらヒル魔さんは人間なのか悪魔なのかとか依然に、ただの幻影なのかもしれません。つまり【存在していない存在】なのでヒル魔さんが消えればみんなの記憶からも消える。
ある日突然ヒル魔さんが姿を消してみんな初めは『どうしたんだろう』と心配していたのに、日を追うごとに『誰のことを待ってたんだっけ?』ってなるの凄いホラーっぽくて良いですね。
ただ何故か阿含くんの記憶からは消えずに残ったままで、ヒル魔さんが消えたことによってあいた不自然な穴が『初めから恰もそこに存在していなかった』かのように綺麗に埋まっていくのを呆然と眺めています。
ヒル魔さんのことを言ってみたけれど誰も信じてくれないし、異常な現実すぎて脳の処理が追いつかないし、どんどん諦めがついて行き着いた先が独占欲に浸ることだったという。
仲の良かった友人も、信頼関係にあったチームメイトも、お互い心底惚れあっていた恋人さえヒル魔さんを覚えてないのに何故自分だけなのか、その苦しみをわかってくれる人は誰もいません。雲水さんですら可哀想な人を見る顔されるレベル。
だから「これでやっと自分だけのものになってくれた」と思い込むしか自分の心を救う方法がなかったのです。そんなわけで今日も阿含くんはヒル魔さんのことを世界でだった一人で想い続けています。
初めは会いたくて仕方なかったのにどんどんいないことに慣れていって、脳裏にある姿がテープが擦り切れたように思い出せなくなるたび、少しずつヒル魔さんがそっと死んでいくのを感じるのでしょうか。最後には阿含くんでさえ忘れてしまうのかもしれません。
それでも例え姿を忘れてしまっても唯一名前だけは忘れずに残っていて、たまに夜中にヒル魔さんを寝言で呼びながら泣いている阿含くんとか。
夜泣きをする子供のように、知らない人の名前を無意識の中で悲痛に呼んでいる弟を見た雲水さんの気持ちはどんなものなんだろう。多分初めは不審がってたけれど、歳月を重ねてくるごとに「大事な人だったんだろうな」と考えてくれるようにはなる。
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